2014年度の固定価格買取制度(FIT)は、太陽光を値下げし洋上風力を値上げ
経済産業省は3月7日、再生可能エネルギーの買取価格を固めた。
太陽光発電への偏りが大きいと指摘を受けたことで、太陽光の買取価格を引き下げる一方で風力発電の中でも洋上風力の買取価格を引き下げる形でまとまった。
地上の風力発電は環境に悪影響を与える面もあるため洋上風力に期待。
再生可能エネルギーの不具合を修正
震災後に、原子力普及から大きく舵を切ることになったものの普及率はまだまだ低い。
日本国内の電力のうち再生可能エネルギーの比率は2012年度でわずかに1.6%。ドイツやスペインの10分の1程。ソフトバンクの孫氏はアジア全体に太陽光発電網を拡大し相互融通することを構想するもまだまだ実現は先の話。
ちなみに、再生可能エネルギー全体の中で97%が太陽光に偏っているとのこと。
2014年度の太陽光発電買取価格
データは日経新聞より
種類 | 12年度 | 13年度 | 14年度 |
太陽光(家庭) | 42円 | 38円 | 37円 |
太陽光(企業) | 40円 | 36円 | 32円 |
風力(20kw以上) | 22円 | 洋上を36円 | |
中小水力 | 24~34円 | 別区分を新設 | |
地熱 | 26~40円 | ||
バイオマス | 13~39円 |
注目の家庭用太陽光発電は、家庭向けが2013年度の38円から2014年度は37円と1円の引き下げ。昨年度の想定では34円への引き下げが予想されていただけに、これからの導入を検討している方には嬉しいニュース。
初期費用としてかかるソーラーパネルなどの設備代が下落傾向にあること、日銀のリフレ政策によりデフレが止まりインフレ傾向に日本経済が動いている中で採算を取れる家庭も多いのではないでしょうか。太陽光発電にはメリットとデメリットがあります。しかし、中東の政変など石油輸入にはリスクが伴っています。
今回の価格決定は、経済産業省の審議会「調達価格等算定委員会」(委員長・植田和弘京都大教授)が行い月内に茂木敏充経産相が正式に認定する。
植田和弘氏は、地球環境問題やリサイクルの重鎮で京都大学を地球環境問題のメッカに育てた人物。そのため再生可能エネルギーに対して好意的な意見を持っています。今回の価格決定も太陽光発電の普及を進めたい立場からの決定でしょう。
利益向上を狙い設置しない業者の認定を取り消し
事業用については、国に認定された後にパネルの価格が安くなるまで待機してい事業者が多いことが、最近の調査で判明。早めに認定を得ることで高い価格での買取権利を得て安くなった設備を導入すれば採算性が大きく向上する狙い。
政府は、悪質な設置業者を排除し良質なエネルギー確保を進めたいと当然考えています。
資源エネルギー庁の調査によると、1年近くも建設を放置する例が多い。
2012年度に固定価格買取制度の認定を受けた太陽光発電設備のうち、出力が400kW以上の中・大規模の案件を調査した結果、認定から10カ月以上を経過した2014年1月末の時点で運転を開始済みの設備は1049件(22%)だった。スマートジャパン
経済産業省は2月14日に672件の認定取り消しを検討すると公表。より高い利益を得るため太陽光パネルの値下がりを待っているとみられる業者が対象。
補助金の終了
ただし、マイナス材料としては補助金の終了。経済産業省は予算要求をしていないためこのまま終了する可能性が高い。
経済産業省資源エネルギー庁は2013年11月5日、住宅用太陽光発電システムの導入を推進するために設けていた「住宅用太陽光発電導入支援補助金」(住宅用太陽電池補助金)について、補助金申込書の受付を2013年度末で終了すると発表した。スマートジャパン
過去の制度状況
- 2013年度の固定価格買取制度:2割引き下げ
- 2012年度:欧米にならい制度がスタート
太陽光発電の採算性を考える上で2014年度の価格体系は味方。ただし消費税の増税分も設置時にはカウントする必要がある。
再生エネルギーの普及は各家庭で負担する電気代の値上げにつながるため、国民の負担感を政策に取り入れてバランスの良い価格設定を行えるかが導入を増やす鍵。
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