住宅用太陽光発電シミュレーション:生活パターンと蓄電池
太陽光発電の発電量と電気料金節約金額のシミュレーションの第二弾を生活パターン別・蓄電池の有無の二つをキーポイントに行ってみました。
地域別のシミュレーション記事はこちらです。シミュレーションは前回同様に京セラさんを利用しています。
生活パターンを中間型・昼型・夜型、それぞれに設定するとどれくらい、変化するのか?
リチウムイオン蓄電池の有無はどれくらい影響を与えるのか確認しています。
太陽光発電シミュレーション:生活パターン
●生活パターン別の太陽光発電のシミュレーション条件
・1カ月の電力量料金:1万3千円
・電気料金メニュー:従量(基本料金型)
・太陽光発電システムの規模:3.906kW
・太陽電池モジュールの設置傾斜角度:30度
・太陽電池モジュールの設置方位:0度(真南】
・太陽光発電連系型リチウムイオン蓄電システム:使用しない
・買取単価:42円(住宅10kW未満)
・場所:東京都東京
場所は、東京都東京で設定しました。
1.生活パターン:中間型
・年間予測発電電力量 : 4,027kWh
・年間予想節約電気料金 : 124,792円
・節約金額を算出した際の発電電力量に対する売電電力量比率は、38.4%です。
2.生活パターン:昼型
・年間予測発電電力量 : 4,027kWh
・年間予想節約電気料金 : 115,691円
・節約金額を算出した際の発電電力量に対する売電電力量比率は、25.7%です。
3.生活パターン:夜型
・年間予測発電電力量 : 4,027kWh
・年間予想節約電気料金 : 144,631円
・節約金額を算出した際の発電電力量に対する売電電力量比率は、65.9%です。
生活パターンの違いによる電気料金
シミュレーションの結果を見ると、同じ場所で発電しますので、予測発電電力量は変化なし。ところが電気料金は、明らかに夜型が一番お得です。
金額では、144,631円(夜型)-115,691円(昼型)=28,940円の差額があります。
結論:太陽光発電システムは夜型生活がお得。発電した電気を自分で使うより、電力会社に売った方がお得ということになります。
太陽光発電シミュレーション:リチウムイオン蓄電システム
次に発電した電気を蓄電できるリチウムイオン蓄電システムを利用した場合を見てみましょう。
条件は、生活パターンのシミュレーションと同じく東京都東京で行い、その他の条件もリチウムイオン蓄電システムを利用する以外は同じです。
なお、生活パターンは、中間型で行います。
1.リチウムイオン蓄電システム無し
・年間予測発電電力量 : 4,027kWh
・年間予想節約電気料金 : 124,792円
・節約金額を算出した際の発電電力量に対する売電電力量比率は、38.4%です。
2.リチウムイオン蓄電システム有り:7.2kWhシステム
・年間予測発電電力量 : 4,027kWh
・年間予想節約電気料金 : 128,199円
・節約金額を算出した際の発電電力量に対する売電電力量比率は、86.7%です。
2.リチウムイオン蓄電システム有り:14.4kWhシステム
・年間予測発電電力量 : 4,027kWh
・年間予想節約電気料金 : 126,068円
・節約金額を算出した際の発電電力量に対する売電電力量比率は、92.8%です。
リチウムイオン蓄電システムの有無による電気料金
この結果を見て困惑する方も多いのではないでしょうか。私もえっと思いました。
リチウムイオン蓄電システムを入れてもほとんど変わらない!
金額では、128,199円(7.2kWh)-124,792円(無し)=3,407円しか差額がありません。
売電電力比率は、86.7%・92.8%と大きく伸びるにに、節約できる電気料金は変わらない。
なぜでしょうか?その秘密は・・・
リチウムイオン蓄電池システム導入の不利
実は、リチウムイオン蓄電システムを導入すると買取単価が、42円から34円に下がってしまうのです。
太陽光発電の買取価格は、2012年現在、1kWあたり42円です。しかしリチウムイオン蓄電システムは、ダブル発電扱いとなり買取価格が34円になってしまいます。
再生可能エネの固定価格買い取り制度は、太陽光発電の価格を1キロワット時当たり42円に設定。しかし、太陽光(10キロワット未満)と蓄電池を併設した住宅からの価格は現行の余剰買い取り方式を踏襲し、同34円だ。
出典:日刊工業新聞
せっかくのリチウムイオン蓄電システムですが、今の制度だと上手く生かすことができないようです。補助金制度はこちら(環境共創イニシアチブ)
もし、導入をご検討の場合には、太陽光発電設置業者にしっかりと現状と有利・不利をご確認ください。
リチウムイオン蓄電池とは
高耐久·大容量のリチウムイオン電池を搭載した蓄電システム
鉛電池の約5倍※4の耐久性を持つリチウムイオン電池を搭載しています。しかも7.2kWhという大容量であるため継続した電力供給が可能となり、電気製品を最大12時間連続して使用することができます。
また、2.5kWの定格出力を有しており、約3時間でフル充電が可能です。
さらに、蓄電ユニットは2台(14.4kWh)まで増設が可能なため、最大24時間の連続使用が可能となります。
1台:7.2kWhで二台設置できることから、エコになることは確かですが、金銭的なメリットがないと設置しにくいですね。
関連記事
- 予算消化が早い蓄電池の補助金概要
- 発表!住宅用太陽光発電シミュレーションの結果を地域別に見る
- レドックスフロー電池による長寿命蓄電池の実用化
- 日本政府が進めるグリーン政策大綱の目標
- 地震などの災害時は太陽光発電の自立運転で電気を使えます。