世界市場は拡大傾向も供給過剰による業界再編が課題
太陽光発電の先行きにネガティブな論調が増えています。九州電力をはじめとした電力5社が事業用の新規申込を保留にしたのは記憶に新しい。
しかし、全体的な流れをみるとメリットの多さから世界的に設置量が拡大中。
太陽光発電の世界市場は拡大中
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日本だけではなく世界的に太陽光発電は普及している。市場規模はEUが8割と大きい。2010年の太陽光パネル生産は中国・台湾で58%、欧州は16%、日本も10%を占める。
2010年は、世界で約1700万キロワット設置されており、実現可能な再生可能エネルギーの本命として着実に増加していることが分かる。
●世界の太陽光発電設置量とその見通し:単位は万キロワット
出典:再生可能エネルギーの真実 山家公雄著
2010年はドイツで約740万キロワット、スペインが36.9万キロワット、日本は99万キロワット。いちはやく原発からクリーンエネルギーへの切り替えを推進したドイツの発電量が多い。
もちろん、太陽光発電にもメリットとデメリットがあるため、ドイツ・スペイン・米国などでも制度を変更しながら設置量を増やすことにしている。
ソーラーモジュールは供給過剰
世界のソーラーモジュール生産量は、需要の伸びに支えられて拡大している。特に中国の投資が多く供給過剰気味。
そのため、パネルメーカーの多くは赤字を出し、倒産や合併などで業界再編が行われている。
今後の拡大予測
太陽光発電全体としては、太陽光発電システムに関する世界最大の業界団体European Photovoltaic Industry Association(EPIA)が拡大を予測している。
EPIAによれば、2013年の太陽光発電の世界導入量は38.4GWであり、2013年末時点での累積導入量は約140GWになった。2014年の世界導入量については、2018年には39~69GWの市場になるとしている。2014年については、低レベルシナリオで35GW、高レベルシナリオでは52GWと見通しているが、中庸シナリオの40GW台前半になる可能性が高いとした。環境ビジネスオンライン
もちろん、推進団体の試算であることから、内容が手前味噌であると指摘することもできるだろう。
ただ、欧州のFIT支援に加えて米国ではメガソーラー計画がいくつも立ち上がっている上に、中国は輸出の苦戦から内需を増やす(金太陽政策)を取り始めている。
ドイツ国内では、再生可能エネルギーが普及しすぎたことや中国企業の進出による国内企業の倒産などが課題。2012年4月にQセルズが会社更生法。
米国は1978年の公益事業規制政策法で電力会社が太陽光発電の買取を行うように。太陽光に恵まれているカリフォルニア州は連邦政府の投資減税を利用して活性化。オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策も普及を後押し。
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